今回は古典派のみのプログラムとなってます。古典派かどうかなんてことは、聞く方からすればどうでもいいことなんですが、知識として知っておけば更に楽しめますよということで、ちょこっとお付き合いください。
音楽史では、1730年から1810年代までの間を古典派音楽の時代と呼んでいます。それまでと何が変わったのか大雑把にいえば、それまでのバロック時代は「ポリフォニー」という旋律に対旋律(オブリガート)を重ねる技法が主体でしたが、古典派では「ソナタ形式」(第1主題-第2主題-展開部-再現部-終結部)が確立され、交響曲の基本的な形が整ったというのが一番大きかったのではないでしょうか。
特にハイドンは104もの交響曲を書き「交響曲の父」と呼ばれていますし、モーツァルトは天才と呼ばれ交響曲を更に発展させてきました。またベートーヴェンは、後に続くロマン派への礎を築いていきます。
こう書くと、ハイドン→モーツァルト→ベートーヴェンだと思ってしまいますし、私もそうだと思い込んでいました。そこで、それぞれの作曲家の生没年、今回のプログラムの作曲年を見てみますと。
モーツァルト→1756生-1791没
ハイドン→1732生-1809没
ベートーヴェン→1770生-1827没
モーツァルト/交響曲第1番 1764年作曲
ハイドン/交響曲第99番 1793年作曲
ベートーヴェン/交響曲第1番 1800年作曲
となっています。
今回、演奏するハイドンの交響曲第99番は、なんとモーツァルトの没後に書かれたものでした。この99番でハイドンが初めてクラリネットを使っていることから見ても、モーツァルトの影響を少なからず受けていたことは想像に難くないです。
モーツァルトは、ハイドンに影響を受けて書いた6曲の弦楽四重奏曲をハイドンに献呈しています(ハイドンセットと言われてます)。そのハイドンが今度は自分にはない発想で作曲されたモーツァルトの交響曲を聞いて、新たな発想で交響曲を書いたと思うとロマン感じませんか?
ベートーヴェンの交響曲第1番は1800年。ハイドンとモーツァルトという大作曲家が切磋琢磨しているのを横目に、新しい時代を切り開く交響曲を着々と構想していたのかもしれません。ベートーヴェン/交響曲第1番には、以降の交響曲に続く構想の種が植えられている気がします。
ということを考えながら聞いていただくと、今回のプログラムはかなり楽しいのではないでしょうか。